DX化推進の中での社内ポータルサイトの重要性

働き方の変化の中で有効なDX化を推進する様々なツール類

企業のDX化を進めるツールには、様々な分類方法はあるものの、基本的には下記のようなものがあると言われている。

①コミュニケーション効率化ツール

②社内基盤構築ツール

③労務管理ツール

④業務システム化ツール

があるといわれている。それぞれ、どんなものなのか説明し、導入についての考慮のポイントを挙げる。

 

①コミュニケーション効率化ツール

社内でのコミュニケーションを支援する、イントラネット・チャットツール・ファイル共有ツール・画面共有ツールなど。無料のものも有料のものもある。

コミュニケーションは基本的にメールや電話でも可能であり、②~④は各業務で必要なものがある場合は必須であって、必須度が高くないため、特に拙速にテレワークを始めた企業で軽視されやすい。しかし経験的に、この部分を工夫することが業務の質・運営管理・社内風土に与える影響が非常に大きいため、後で詳述する。

 

②社内基盤構築ツール

恒常的なテレワークの基本となる、社内サーバーとのネットワーク回線やクラウドサーバー・リモートアクセス用品など。特に顧客情報等の重要情報は社内サーバーに隔離保管している企業も多く、これをネットワークに繋ぐにはVPN接続環境の構築などを行う必要も高い。企業によってはテレワーク整備のボトルネックになる。

 

③労務管理ツール

働き方の見える化やペーパーレス化などを可能にし、法令順守を行うための労務管理ツール。たとえばテレワークではタイムカードは使えないことや、始業終業の自己申請を行うと、管理者の現認が一切できないため、労務管理が不適正だということになる確率が高いと思われる。ネットワークで管理できる様々な労務管理ツールがあり、働き方に合わせた導入が必要である。

 

④業務システム化ツール

たとえば経理業務であればネットワークに接続された会計システムがないとテレワークは難しく、電話やメールでの営業職であっても、営業成果や進捗管理のシステムは通常必要であろう。このように、業務を進行するためのシステムは通常必要になると思われ、業務の棚卸に基づいて、システム化が必要な部分は行う必要がある。

 

以上のように、ツールには様々なものがあり、かつ②~④は業務の内容・プロセス上必要な場合は整備が必須で必要となる。

なお、クラウドソフトの場合、助成金・補助金との関係では注意が必要である。初期投資される資金については補助対象となる場合が多いが、特にクラウドツールで多い月額課金などのいわゆるサブスクリプション課金の場合、申請期間内に実際に支出した額しか対象にならない場合が多く、少額しか補助されない場合が多いため、注意が必要である。

 

DXツールの導入に当たって

上記のツールの導入には専門的な知識が必要なものも多く、場合によっては高額の費用が必要になる。

特に②~④についてはそのようなツールが必要であるということ自体への知識を持っておくことは重要ではあるが、個別の情報は世の中にあふれていることと、少し詳しい情報になると専門的な知識が必要であり、特にソフトの使用やネットワーク敷設等については専門業者に相談することが基本的に必要になると思われる。

 

①については、問題の影響範囲が大きく、人事管理の有効性やや風土形成と絡む割に、あまり経営課題だと捉えられていないことが多いため、外部の関与者として大きく介在する価値がある。また、コンサルの主題になり得る可能性も高く、また助成金とも大きく関わる。そのため、これについてさらに解説していく。

近年「コミュニケーションツール」を活用することで、ビジネスを円滑に進めることに成功している企業が増えてきている。

コミュニケーションツールとは、意思疎通や情報共有などを行う際に利用されるツールの総称を指す。一般的な電話やメール、会社の情報をストックしておくグループウェアなどもコミュニケーションツールに含まれる。

近年、それらに加えてビジネスに特化したチャットやプロジェクト管理ツールなどが登場したことにより、ビジネスのコミュニケーションに対する考え方やあり方が大きく変わってきている。

 

ビジネスに特化したコミュニケーションツールは、メールやグループウェアなどの手段と比較して、素早く、手軽に情報共有することが可能です。その他にも、クラウド(インターネット上)でファイル共有を行うことが出来るツールなど、様々な種類のものが出てきている。

 

こういったツールについては、まだ知らない事業主が多い一方で、各会社のコミュニケーションや業務によって合う・合わないということがあるように思われる。試用が無料でできたり低額のものも多いため、積極的に試してみて、活用を検討していくと良いであろう。

 

社内ポータルサイト(イントラネット)の重要性

 

コミュニケーション効率化ツールに位置づけられるものの1つとして、社内ポータルサイトがある。イントラネットと通称されることもあるが、テレワークにおいては重要度が非常に高いと考えている。社内のみで閲覧できるWEBページ・システムであり、ホームページのようにある程度定型のデザインがされ、様々な社内システムへのリンクや情報が掲載されているもののことである。

 

社内ポータルは、大企業だとほぼ必ずあるものだが、中小企業だと多くの会社に存在しない。しかし、テレワークが重要になってきている現在、中小企業において社内ポータルが存在しないことが、大きな非効率や経営的な問題を生んでしまっているように思われる。

 

たとえば、組織が小さくても、テレワークを行うためには、データベースを参照し、業務システムを立ち上げ、会議システムに接続する、などの作業が様々に必要になる。

 

社内ポータルサイトは単なる従業員用の情報検索サイトではなく、ポータルサイトを入り口としてさまざまな機能が集約できれば、業務が大きく効率化できる。

 

たとえば、店舗でのオペレーションマニュアル、営業で使用できる資料、事務書類のフォーマットなどが集約されることで、社員はそれぞれの情報がどこにあるのか迷うことなく探し出すことができる。ツールを社内ポータルサイトで一元的に管理することによって、社員が業務で覚えるべき仕事の数を減らすとともに、業務の効率化ができるのである。

 

社内ポータルサイトで情報共有を強化することのメリット

他にも社内ポータルサイトには様々なメリットがある。

 

・情報が周知できる

伝達したい情報を書類にして回覧したり、社内の掲示板で告知したりする場合、社員間に情報が浸透するのに時間がかかってしまい、メールなどだと確実に周知できたのかわかりにくいことも多い。その点、すぐにアクセスできる社内ポータルサイトの場合、情報の拡散がスムーズに進められる。特に、テレワークでは同じフォーマットのポータルを全員が見ていることの利点は大きい。

 

・部署間の交流や情報共有を図りやすくなる

テレワークを行っていると、直に対面する機会が減り、他の社員がどんなことをやっているのかが非常に分かりにくくなるものです。社内ポータルサイト内の掲示機能やSNS機能などで、他部署への情報共有が様々に可能になる。相手は任意のタイミングで閲覧でき、さらにコメント機能などの活用により、情報をさらに拡散することもできるであろう。

 

・理念やビジョンを伝える場ができる

社内ポータルサイトに経営層の考え方や企業理念などを発信する、トップメッセージを設ければ、社員に対して企業の理念やビジョンが浸透しやすくなると思われる。組織規模によらず、こういった経営層のメッセージを伝えることは至難である。テレワークにおいて物理的な距離が離れると、その何度は一層増すと言える。そういった時に、ポータルサイトが有効に活用できる。

 

以上、ICTツールのうちのコミュニケーションツールの1つとして、社内ポータルサイトについて詳述した。社内ポータルサイトは過去に社内施策として社会的に話題になった時期も何度もあるようであるが、昨今重要なツールとして見直されつつある。

従来は比較的大きな企業におけるツールであるという認識が主だったが、現在では企業規模を問わず有効なものであると言える。また、補助金や助成金との関りだと、設計についてのコンサルティングが求められ、かつ最初に設計構築して納品しきるような納品プロセスであることが多く、補助金や助成金との相性が良い。

こうしたツールを活用し、助成金・補助金も活用して、テレワークを活用した労務改革・経営改革を推し進めていくことが求められているであろう。