労務提案の有効性の向上を図るための調査分析

 

人事施策の効果の可視化の重要性

人事施策は効果が可視化しにくいものが多いです。

人事制度構築・就業規則を始めとした規程の改定・育成体系の構築・様々な制度設計などは社労士によってよく行われるものです。
また組織活性系の動きとして理念浸透・エンゲージメント向上・コミュニケーションに関する施策なども、近時、特に重要性が高いものです。

こうした施策は大きな労力と費用をかけて行われる場合も多く、また組織に重大な影響を与えます。「施策を行うことによってどういう影響が与えられたのか」を可視化することが重要だと言えます。

労務関係の整備の目的と調査の位置づけ

特に就業規則の改定などをはじめ、人事コンプライアンスに関する施策というのは「リスクが高い緊急事態が起こった時の整備を万全にする」という効果を狙うことも多くあります。ある限定された場合に意味のある施策ということも重要です。しかしながら、たとえば服務規律の改定とその広報などは日常の業務での意識を狙って行われる場合も多いものです。またしばしば、リスクマネジメントを意識しすぎることは日々の組織や経営への判断を硬直化させます。

トラブルの場合などのリスクマネジメントも1つの要素として、何に対してどのような効果を持ち、実態として職場環境がどうなのか、ということを把握の上で、環境への影響を考慮した形で制度を構築していくことが重要でしょう。

こうした定量的な調査は、社労士の業務に付随して行われることはほとんどありませんが、多様な働き方や健康経営など、人的価値を重視するような経営・人事の潮流の中で、働くことの実態把握の重要性はますます増しています。組織調査の知見は非常に重要性が高いものと言えるでしょう。

 

(東京都社会保険労務士会 先進人事経営検討会議 責任者 松井勇策)